事業仕分けとちゃぶ台をひっくり返せ星○徹
予算減らして赤字増す ハイ、ハイ、ハイハイハイ!
…あると思います!!
事業仕分け…日本政府が主導で行っている事業にて、税金を
有効に使用しているかどうかを判定し、無駄遣いをなくす目的で
行われている。
日本の国家財政は危機的状況にあるのは確かで、現在抱えている
赤字国債は800兆円にもなるという。
無駄に行われている事業や、不必要とも思える独立行政法人の存在は
ないとはいえないと思う。
そんな中、科学技術に関連した予算についてもメスが入ることとなり、
そのほぼすべてが減額、もしくは中止となってしまった。
ネット上ではこれに対して反発の声も大きく、また一部の研究者から
スーパーコンピュータの開発停止に反対する異例の声明まで発表される
事態となってしまった。
科学技術を止めてはいけないという意見と、即時の有効性が見られない
から止めるべきという意見が真っ向から対立する形になったが…
実際、いるの?いらないの?
一口に科学技術予算とくくってしまうのはどうだろうか?
そんなわけで、私なりに事業仕分けを事業仕分け返ししてみたいと思う。
権限も強制力もなんにもないただの一市民の意見ではあるが。
…☆一徹並にちゃぶ台返しできりゃなぁ…
1.スーパーコンピュータ「汎用京速計算機」
実のところ…コンピュータ技術的な面だけで言うと、現在富士通と
理化学研究所が進めている手法では独自性は少ない。
富士通や理化学研究所は「スカラ型」といわれる並列計算による
高速化を目指したマシンを想定しているのだが、最初の計画段階では
「ベクトル型」といわれるマシンとの組み合わせによるものだった。
スカラ型スーパーコンピュータはアメリカなどを中心に多数開発されて
いる。利用者の側からするとスーパーコンピュータはもちろん必要で
あるのだが、技術的な面で言うとスカラ型であるならオリジナリティは
当初の計画からすると低くなってしまう。
…残念ながら仕分けられても仕方のない部分はあるなぁ。
NECが撤退し、日立もそれに続いた今となってはしょうがない。
ベクトル型スーパーコンピュータの開発と、利用者のためにある程度
高速なマシンを多数用意できる予算は用意してほしいが…
2.GXロケット
液化天然ガスを使用した意欲的なエンジンを搭載した中型ロケット。
アメリカやロシアの開発したエンジンなどを利用して比較的安価に
打ち上げを行えるようにするはずだった。
しかし、開発費が膨れ上がってしまっている。
(2009/11/26:追記 財務省の野郎…やってくれたな…
財務省の当初説明では700億が投じられたということだったが、
IHIの説明によると250億円程度だそうで。残りは民間が出してると
いうことだ。これはさすがにあかんやろ…事業仕分けの信頼性が
さらに低下してしまうだろ…)
液化天然ガスを使用したエンジンそのものは完成にこぎつけたのだが、
ロケットにつぎ込むお金がない。
…これについても仕分けられても仕方ないかもしれないなぁ…
液化天然ガスエンジンが失われるのはマズいし、選択と集中を行うことで
H-2シリーズと次世代固体燃料ロケットの開発にその分の予算を乗っける
形にする必要があるのではないか。
GXの開発で得られたノウハウをH-2シリーズにフィードバックさせられる
のが一番いいのだが…開発元が三菱重工とIHIだろ…うーん…
エンジンはともかく、GX開発自体の中止は仕方ない…か…?
(2009/11/26:追記 GXは中型ロケットで、搭載量で言うとH-2には及ばず、
小型衛星もH-2で打ち上げられるわ次世代固体燃料ロケット「イプシロン」の
開発も予定されているわと肩身が狭いわけで…)
…以上、仕分けられてもどちらかといえば仕方がないかなという
思いがなくはないもの。
しかしここから後に関して言えば、もう仕分けに上がる意味が理解できない。
日本の科学技術をどうにかしたいのか、というより潰したいのかという
レベルのものが並んでいる。
3.最先端研究開発支援プログラム
平成21年度第二次補正予算で決定した総額2700億円に上る緊急予算
増額。多数の申請があった中から30のプロジェクトに予算がつく
こととなったのだが、これらも仕分け対象となった。
もともと麻生内閣のもと「景気に影響を与えるような仕事にお金をまわす」
という方針で出されたお金なので、基礎研究系のなかでも有機ELや
新型記憶素子、がんや再生医療、太陽電池といった実用化されれば
社会に役立つものが多かった。また、予算がついた先生方もビックネームが多い。
事業仕分けと方針転換の結果、この予算を削減、これらの予算の一部を
若手研究者や女性研究者に当てることとした。
…ねぇ、景気は?景気どうするの?日経が死にそうなんですけど…
景気のことはおいておくならば、若手研究者などに予算つけることは
悪くないが、対象とする分野がグリーンテクノロジーと健康長寿だけ
っていったいどういうことよ?
4.Spring-8
今回の事業仕分けの中で一番問題だったのがこれだと思う。
すでに十分な成果を挙げているSpring-8から予算減らすって…アホ?
あのー、これからさらに需要が見込まれているんですけど…
超高出力の電子線やX線は、物質科学・地球惑星科学・生命科学・環境…
実用化されたものにも相当のものがある。
スタッドレスタイヤや自動車用触媒(トヨタが専用にラインを用意する
というのだから重要さもわかるというもの)、リチウムイオン電池、
金属素材や半導体…こういったものも進化しなくなったりするわけだ。
挙句の果てに独立採算制とったらとか言い出した。
ドンだけ利用料金高くなると思ってるんだよ馬鹿か?
国際競争力低下なんてレベルじゃないだろ、誰だよこれ言い出した奴。
使うなってことか?ふざけろ。
5.深海地球ドリリング計画
日本のEEZ(経済的排他水域)は世界有数の面積を誇り、その深海底には
竜宮城もびっくりの金銀財宝に匹敵するほどの資源が眠っている。
当然その深海の調査も必須である。資源の山だぞ資源の。
深海地球ドリリング計画に関して言うと、日本は地震国であり、かつ
周囲を海に囲まれているわけで、地球物理の研究は止めてはならないと
いっていいだろう。
資源がどのくらい眠っているのか、未知の有益微生物だっているかも
しれないわけで、何をどうしたらこの予算を削るという結論になるのか
ぜんぜん全く理解できない。
6.HTV
スペースシャトルが2010年に退役となり、代わりに国際宇宙ステーション
に物資を輸送するための貨物船が必要となった。
2009年9月11日、第一号が無事打ち上げ、ドッキング共に成功したことで
国際宇宙ステーションに関する日本の重要性は高まった。
これがなかったら、国際宇宙ステーションはストップすると言っていい。
何をどうしたらこの予算を減らせるんだ。他に減らすべきものあるだろ。
7.ライフサイエンス分野
この分野そもそも予算がつきにくい分野である。
理由としては結果が反映されるのに時間がかかることにある。
山中教授がiPS細胞の開発に成功したときですら、同分野の予算を
別の部門から削って集中させようとしたわけで。
ターゲットタンパクや分子イメージングの成果が目に見える形に
現れるまでにもおそらく時間がかかるだろう。
1年やそこらでは多分無理だろうなぁ…
…もう現政権下では短時間で安く成果が上がること以外は出来なく
なるんじゃなかろうか。困ったものだ。
8.原子力研究開発事業
意外かもしれないが、今の原子炉で使われているウラン235は数十年後
には枯渇している可能性もある。やばいだろおい。
ウラン238に関しては400年分くらいはあるといわれているので
プルトニウムを使用する原子炉を実現する必要性もあると思う。
核融合に関してはまだ道半ばであるが、実現の暁には人類は
エネルギー問題から解放されるはずである。
燃料は何せ無尽蔵といっていいレベルにあるし、月にまで行ったら
ヘリウム3が山ほどある。
そりゃアメリカに限らず中国やロシアも月目指すわけだ。
月は無尽蔵な核の燃料ってなんのこっちゃ。
原子炉作るコストは確かに馬鹿にならない。
しかし、発生する電力を考えるとそれを上回る魅力がある。
安全性の問題もあるが、それこそロボット技術などを用いる対象
なのではなかろうか?
事業仕分け人はコスト削減以外に興味がないのか、
「他でも同じことやってるならやらなくていい」
「何年もかかることはやらなくていい」
「お金かかりすぎだろやめろよ」
…まぁそう言うことが仕事だといえば確かにそうなのだけれども。
現政権になって思うことは、なんていうか短期的にしか物事を判断
出来ないんじゃないかと思うわけで。
今苦しくても未来のために何かをするのがいいのか、今さえよければ
それでいいのか?
どうも後者を選んでいるような気がしてならない。
…大体こんだけ削った予算が何千億も諸外国に流れてるのは、○沢さんが
またキックバック欲しがったってことですか?
もう科学でもなんでもないけれど突っ込みたくなるわアレ。